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渥美清的映画
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男はつらいよ 望郷編

松竹/88分/1970年(昭45)8月26日公開 <第5作>
原作 山田洋次 脚本 山田洋次・宮崎晃 監督 山田洋次
撮影 高羽哲夫 音楽 山本直純 美術 宇野耕司
共演-倍賞千恵子・森川信・三崎千恵子・前田吟・太宰久雄・笠智衆
ゲスト-長山藍子・井川比佐志
併映「なにがなんでも為五郎」監督:野村芳太郎 出演:ハナ肇、谷啓
動員数72万7000人/ロケ地・千葉県浦安

キネマ旬報BEST10第8位・脚本賞/山田洋次、宮崎晃同・女優賞/倍賞千恵子
第25回毎日映画コンクール・脚本賞/山田洋次、宮崎晃、同・主演女優賞/倍賞千恵子
シナリオ作家協会シナリオ賞/山田洋次、宮崎晃
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★「男はつらいよ」第5作。

この作品で再び監督が山田洋次に戻った。
作品冒頭が寅次郎の夢から始まる。これ以降、このパターンが繰り返されていく。
夢の内容はおいちゃんの死、である。
これが伏線となり寅からの帰郷の電話におばちゃんが「おいちゃん危篤なのよ」と担ぐ。
慌てて帰ってきた寅次郎、勿論おいちゃんはピンピンしている。しかしその後から寅から危篤の報を聞いた御前様や近所の人々、果ては葬儀屋まで押しかけてくるのである。
落語の定番ネタである。

そして弟分の登が訪ねて来る。登から昔世話になった親分が危篤だと聞いて二人して札幌へ。
その親分のたった1人の息子である蒸気機関車の機関士を見つけ出すのだが、息子はやくざな父親との面会を拒否する。喜劇映画としてはかなりヘビーなシーンが続く。疾走する蒸気機関車の描写が印象的だ。撮影の高羽哲夫は鉄オタなのだろう。同じ松竹の小津作品のカメラマン厚田雄春も鉄道好きで「晩春」の中で走る東海道線や「東京物語」の山陽本線など良いカットを多数撮っている。

札幌での出来事を経て寅は心入れ替え真面目人間となって再び柴又へ帰ってくる。
この時のかしこまった渥美清の演技はまさに絶品である。そして結局タコ社長の印刷会社で働くことになるが当然長続きするはずもない。

江戸川の船の上で寅は労働に疲れて昼寝している。すると綱が外れて船は漂流して千葉県浦安の豆腐屋に世話になる。ご都合主義、極みの構成ではある。
豆腐屋の娘は長山藍子、その母親に杉山とく子。この二人はTV版ではそれぞれ妹さくらとおばちゃん役を演じている。そして当然寅は恋に落ちる。長山の、当時流行っていたであろうミニスカートから除く足が眩しい。案の定恋人の井川比佐志が登場して寅は振られてしまう。傷心の寅は再び旅に出て
る。やがて登と偶然再会して「終わり」となる。

長山藍子は1941年中国内蒙古自治区フフホト生まれの静岡県三島市育ちでこの時29歳。父は同盟通信社記者で東京タイムズ創立に参加した。父親の影響で俳優を目指し、俳優座養成所に12期生として入所する。1963年に卒業すると同時に劇団新人会に参加した。1970年には前田昌明、山本學らと第二次劇団新人会を発足した(1994年に朋友と改名)。1999年、文化庁芸術祭演劇部門大賞受賞。2007年9月に劇団朋友を退団。
映画では『橋のない川』や『ガラスのうさぎ』などで活躍する。ドラマでもNHK大河ドラマ『おんな太閤記』、『春日局』等の時代劇に多く出演した。TBSでは『女と味噌汁』シリーズなどの石井ふく子プロデュースのホームドラマに出演し、特に1990年から石井プロデュースの『渡る世間は鬼ばかり』の野田弥生役は広く知られており、橋田壽賀子作品の常連の1人にもなった。『男はつらいよ』のテレビ版では初代の車さくら役を演じ、映画版『男はつらいよ 望郷篇』ではマドンナとしてテレビ版の博役の井川比佐志とおばちゃん役の杉山とく子とともに出演した。さらに1979年から1981年まではクイズ番組『クイズダービー』に5代目2枠レギュラー解答者として出演した。

井川比佐志は1936年満州国奉天市(現・中国・瀋陽市)出身のこの時34歳。父親は測量技師で、戦後は日本測量専門学校(現在の国土建設学院)で測量士の育成にも尽力した。
小学生の時、旧満州から引き揚げ。1955年に東京都立千歳丘高等学校を卒業後、俳優座養成所に第7期生として入所。後に行動をともにする田中邦衛とは同期。1958年、俳優座の座員に昇格。
1962年、安部公房原作・脚本、勅使河原宏監督の映画『おとし穴』に主演し、注目を浴びる。1973年に俳優座を退団、田中邦衛らとともに「安部公房スタジオ」の旗揚げに参加した後、現在はフリー。
演劇界の数少ない庶民派として確かな演技で作品を支えるバイプレイヤーであり、『どですかでん』『乱』『夢』『八月の狂詩曲』『まあだだよ』と黒澤明作品の常連でもある。
2000年以降は『雨あがる』『ホタル』『阿弥陀堂だより』『半落ち』『悪人』などに出演。テレビドラマ・映画でのベテラン刑事役が多い役者でもある。リチャード・バートン、マーロン・ブランドの吹き替えとしても有名。

この回も前作同様に構成が二分されている。前半が肉親の死絡み、後半は寅の恋物語。
前作の構成を踏襲しながら、シリーズの定番となって行く「笑いどころ」も随所に出てきている。


<参考文献「知られざる渥美清」大下栄治「おかしな男渥美清」小林信彦>
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